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水を考えるつどいが開催されました

今年(平成29年)も水の日(8月1日)に、「水を考えるつどい」が開催されました(会場:イイノホール 東京都千代田区内幸町)。この催しは、健全な水循環や水の大切さについて考えるため、毎年「水の日」の記念行事として開催されています。
以下、開催結果(概要)です。


開催趣旨(主催者挨拶)

 はじめに、石井啓一水循環政策担当大臣が主催者を代表して挨拶し、地球温暖化による気候変動の影響が指摘される中、雨の降り方が局地化・激甚化・集中化する中、先月も九州北部の豪雨災害をはじめとして、全国各地で水害・土砂災害が頻発していることに触れ、水の災いを減じつつ水の恵みを享受していくためには、水循環全体の姿をとらえ、様々な問題に一体的に取組み、健全な水循環の維持・回復が必要であること、その理解・啓発の重要性を指摘しました。その後、東京都知事(代理:佐藤伸朗都市整備局理事)、虫明功臣水の週間実行委員会の挨拶が行われ、続いて、全日本中学生水の作文コンクールの受賞者表彰式が行われ、受賞者一人ひとりに、各賞のプレゼンターから表彰状が手渡されました。


熊本地震で変わった水への想い

 全日本中学生水の作文コンクールで見事、最優秀賞(内閣総理大臣賞)に輝いた、岡部利穂さん(熊本県 熊本信愛女学院中学校1年)が受賞作文「水への想いが変わった日」を朗読しました。
 水は普段の生活を彩る、たくさんの幸福な時間をくれるものだったものが、昨年の熊本地震で被災し、大変な苦労を強いられたことでその認識が一変したこと、上下水道の耐震化など災害に備えるために人々が様々に取り組んでいたことを知り、確実に水への想いが変わった事を綴った内容で、ホールが感動に包まれました。
受賞者・作文内容はこちら(外部サイト:国土交通省)>


基調講演:大西一史熊本市長

 休憩後、大西一史熊本市長による基調講演が行われました。講演は、「熊本地震から学んだこと ~未来へつなぐ生命(いのち)の地下水~」と題され、ところどころで岡部さんの作文内容に触れながら、熊本地震の被害状況や、水供給への影響、漏水への対応など、非常に緊迫・切迫した状況について説明がありました。特に、水道局の電話回線がパンク状態となり、まず、市民からの問い合わせに対応できるよう、コールセンター機能の設置を指示するなど、局面の打開やそこから得た教訓について経験談が語られました。いかに水がありがたい存在であるか震災を機に再認識したそうです。
 というのも、70万人以上が暮らす熊本市は水道水源を100%地下水で賄っており、過去に渇水による断水を経験したことがないくらい、豊富な地下水に恵まれています。講演の後半では、「日本一の地下水都市 熊本」について紹介され、水田湛水の事例などを元に、地下水の保全に具体的取組や、セクターを超えた連携・協業の重要性、そして「くまもと地下水財団」を設立しての広域連携の取組について紹介がありました。
 講演の中で大西市長は、熊本地震を振り返り、いつでもそういった危機的状況に各人が置かれる可能性があること、そしてそのとき、それぞれがどう対応すべきなのか、その準備は普段からしておかなくてはならないことを強調していました。


パネルディスカッション:異なる課題、共通する課題

 水を考えるつどいの最後には、「流域の水循環と地域づくりを考える」をテーマにしたパネルディスカッションが行われました。東京財団の吉原祥子研究員がコーディネーターとなり、黒川純一良氏(内閣官房水循環政策本部事務局長)が、流域水循環計画の認定やモデル調査地域の設定など、国が地域と連携しながら「流域マネジメント」の推進に取り組んでいることを紹介し、そのトップランナーとして、福島・岡崎・熊本の3地域からの事例報告が行われました。事例は、流域マネジメントを推進していく上での体制をどう構築しているか、特に流域の中で重要な課題と認識しているものは何か、国とどう連携しているか、これらにフォーカスしてプレゼンテーションが行われました  福島では猪苗代湖のような比較的良好な環境をこの先どう保全していくか、岡崎市では、上流部の森林の保全とそのための財源確保などの仕組み(制度)の構築、熊本では、いかに広く地域住民に地下水保全活動を普及・啓発していくかといった、それぞれの地域・流域ごとに異なる課題があることと、その中でも財源や人材の確保など共通した課題があることを吉原氏が的確に整理し、議論を進めました。
 パネルディスカッションの最後には、3地域のパネリストが今後の展望を開いていく上でのキーワードとして、「心身ともに健全な人づくり」(福島)、「水から知る森の恵み」(岡崎)、「連携・協働」(熊本)をそれぞれフリップで提示し、ポイントをまとめていきました。
 最後に黒川氏が総括的なコメントを行い、わかりにくい水循環の仕組みについて、科学的に「見える化」することの必要性に触れ、表流水と地下水が一体化した水の流動軌跡が描かれた解析図を示しながら、そういった解析やデータ整備を通じて各地域・流域を支援していくこと、また、優良事例の共有などを通して、トップランナーに続く地域が出てくることへの期待を表しました。


(パネリスト)
大西一史 氏(熊本市長・公益財団法人くまもと地下水財団理事長)
黒川純一良 氏(内閣官房水循環政策本部事務局長)
冨永晃宏 氏(名古屋工業大学大学院 教授・岡崎市水循環推進協議会 会長)
中村玄正 氏(NPO法人輝く猪苗代湖をつくる県民会議 理事長・日本大学 名誉教授)
吉原祥子 氏(東京財団 研究員) ※コーディネーター


特別ゲスト「くまモン」来る!

 以上のように、水循環をとりまく状況・動向や流域マネジメントの推進といった、なかなか難しそうなテーマについて、人々がつどい、考える場ではありましたが、基調講演の前の休憩時間にはあの「くまモン」がサプライズゲストとして登場。震災復興支援への感謝のメッセージを掲げました。
 そして、2017ミス日本「水の天使」の宮﨑あずささんとの共演によるフォトセッションが行われ、水を考えるつどいの参加者がその様子をスマホで撮影するなど、大いに盛り上がりました。

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